キャンプツーリングに行ったときにキャンプ場で転倒させてしまったBMWのR1250GS。
地面が土と芝生だったため運よくバイクに傷はつかなかったのですが、よく見て見るとパニアケースが何やら大変なことになっていました。
このパニアケース。ケースが前後に伸縮して容量が変化できるようになっています。その容量を変化させるための部品が、転倒によって壊れてしまったようです。バイクの重さに耐えられなかったんでしょうね。
と、言うことで、壊れてしまった部品を交換するためと、ほかにも壊れている部分が無いか確認するために分解することにしました。
パニアケースの蓋の裏にはこのようなステッカーが貼られていましたので、おそらくR1200GS、F700、F800、F750GS、F850GSのパニアケースも同じような構造だと思います。
R1250GSのパニアケースの分解にはちょっとしたコツが必要でしたので、これからパニアケースを分解する予定の方は、ぜひ参考にしてください。
R1250GSのパニアケースを分解するのに必要な工具
- プラスドライバー(サイズは#2)
- トルクスレンチ2種類(サイズはT25,T20)
- 先がとがったドライバー
- 六角レンチ(2mm)
分解手順のところで詳しく説明しますが、先がとがったドライバーと六角レンチ(2mm)は他の物でも代用可能です。
R1250GSのパニアケースの分解手順
それでは、R1250GSのパニアケースの分解方法を順を追って説明します。
蓋(リッド)の取り外し
まずは、蓋(リッド)を取り外します。
蓋(リッド)が大きく開かないように抑制している紐?を取り外します。
プラスドライバーでタッピングビスを外します。
この時、隣の紐?が取り付けられていない側のタッピングビスもついでに外しておいてください。もちろん、左右とも同じようにタッピングビスを外してください。
ここからが今回最大の難所です。ここさえクリアーできればあとは大したことはありません。
まず、ヒンジのピンを抜きます。片側から差し込まれていますが
反対側は袋状になっていてピンが出ていません
このピンをいかに抜くかが今回最大の難所です。
最初、ピンが少しだけ出ていたのでプライヤーでつかんで引っ張り抜こうとしましたが、ピンが出ている量が少なすぎプライヤーでうまくつかめません。
蓋を再利用しないのであればヒンジを破壊してしまえばいいのでしょうが・・・。
または、ヒンジの片側が袋状でなく貫通していればそこから細い棒状の何かを使ってピンを押し出してしまえばいいのですが・・・。
ということで、手っ取り早く袋状になっている部分に穴をあけ、そのあけた穴から棒状の何かを差し込んでピンを押し出す作戦を実行してみます。
穴をあけるためにドリルを使おうと思ったのですがドリルが大きすぎ、パニアケースが邪魔をして真っすぐに穴をあけることが出来ません。
ですので、ドリルの刃だけを指でつかんで回し、穴をあけようとしましたがなかなか穴が開きません。
そこで、もしやと思い、ホームセンターなどで販売されているドライバーセットの中に先がとがったドライバーが入っていたことを思い出し、それを使ってみることにしました。
先のとがったドライバーをぐっと差し込むと、思いのほか簡単に穴が開いてしまいました。
その開いた穴に六角レンチの2㎜を差し込み、ハンマーで叩いてヒンジのピンを押し出します。
その際、パニアケースに傷がつかないように養生をしておいたほうがよろしいでしょう。
わたしは薄いフリーペーパーがあったので、それを使って養生をしました。
うまくいくとこのようにヒンジのピンが出てきます。
この作業さえクリアーできればあとの作業はとても簡単です。
ちなみに、今回あけた穴はこのような状態です。
最小限の穴あけ加工で済んでいると思います。
この作業での注意点は、
- 先のとがったドライバーを差し込み過ぎて、むやみやたらと穴を広げすぎないこと
- 六角レンチの大きさは必ずヒンジのピンより細いものを使うこと
の2点です。
また、先のとがったドライバーが無ければ釘でも代用できます。パニアケースのプラスチック(おそらくポリプロピレン)は柔らかいので、先端はそこそことがっていれば穴をあけることが出来ます。
六角レンチも、そこそこの硬さがありヒンジのピンより細ければ何でも良いので六角レンチにこだわる必要はありません。また、今回使った六角レンチはハンマーで叩いたときに曲がってしまいましたので、今後使用する予定のないものを使う方がよろしいかと思います。
先のとがったドライバー、釘、六角レンチなどはいずれも100均で販売されていますので、今回の作業限りの使い捨てと考えて購入されるのも手っ取り早くてよいかもしれません。
調整プレートの取り外し
次は本体をばらしていきます。
写真に赤矢印で示したボルト9本を抜きます。T25のトルクスです。
①と②のボルトは他のボルトより短い物が使用されていますので、組付けるときは注意してください。
また、ボルトは本体の内側からナットで止まっていますので、ボルトを抜いた際にナットが本体から外れることがあります。そのため、ナットの紛失にはご注意ください。
全て抜くとこのように外れます。
次は、容量変更用のレバーを取り外します。
プラスドライバーを使ってネジを抜きます。
左右どちらのネジも抜いたら、レバーを少し回してから抜き取ります。
レバーを抜くことが出来たら本体をひっくり返し、写真で示した赤矢印の部分にあるボルトを抜きます。
T20のトルクスです。
なお、左端のボルトだけ長いものが使われていますので、組付ける際はご注意ください。
この3本のボルトを抜くと、パニアケースを伸縮させるためのサイドプレートが外れます。
反対側のサイドプレートも同じように取り外します。
最後に伸縮用のフレームを抜き取れば作業は終了です。
全て分解し終わったので損傷個所を確認すると、伸縮用のフレームだけが壊れていることがわかりました。
とうことで、ディーラーに伸縮用のフレーム(部品名は調整フレーム 約11,000円)を注文することにします。
まとめ:転倒で壊してしまったR1250GSのパニアケースを修理する ~前編 分解編~
このタイプのパニアケースを使っていてバイクの転倒させてしまったときに、今回と同じような部分を損傷させてしまった方は少なくないのではないでしょうか?
特に、パニアケースを拡張して使っているときには。
今回損傷したパニアケースの部品は、バイクを転倒させてしまうと負荷が多くかかる部分なのですが、構造的にバイクの重さを支えるだけの強度を有しているとは思えません。ですので、バイクを転倒させていしまうとこの部分が壊れてしまうのです。
ただ、この部品の強度を上げて壊れないようにすると、今度は違うところに負担がかかってしまいます。
その負担がかかる部分がどのような部品でどのような壊れ方をするか、が次の問題になるのでしょうが、おそらく蓋(リッド)は損傷してしまうのではないでしょうか。
そうすると、蓋(リッド)の交換には今回以上の費用が掛かってしまいそうです。
この辺りはなかなか難しい問題ですね。
と、いうことで、皆さんの参考になれば嬉しいです。
【追記】
最終的に伸縮用のフレームを交換して修理終了したのですが、ちょっと気になった接着剤のゴリラグルー クリアを使って割れてしまったフレームを修理したところ、思いのほかガッチリくっついてしまいました。
ご興味のある方は「接着剤のゴリラグルー クリアを割れたパニアケースの修理に使ったらバッチリグーでした!」をご覧ください!
パニアケースの組み立て方は「転倒で壊してしまったR1250GSのパニアケースを修理する ~後編 組み立て~」をご覧ください。